統合ツール:リスク登録簿
統合元:PMBOK 10.5 リスク登録簿(確率×影響/4戦略)+ 内製教科書 第22・27章(例外の洗い出し・兆候・プレモーテム)。 残した中心:登録簿の型(PMBOK)に、教科書の「条件と結果」の書き方・観測できる兆候列・プレモーテムを加える。
1. リスクとイシューを分ける
- リスク=起きるかもしれない(備える対象)/イシュー=既に起きた(今すぐ解決)。同じ表に混ぜない。
2. 登録簿(「条件と結果」+兆候)
| ID | 条件 → 結果 | 確率 | 影響 | 兆候(観測できる) | 戦略 | 対応策 | オーナー | 期限/トリガー |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| R-1 | 本部長が確認に出ず設計完了 → 展開1ヶ月停止 | 中 | 高 | 代理出席が2回続く | 軽減 | 月1回15分の個別説明枠 | PM | 第3回運営会議 |
| R-2 | 例外が受入条件に入らず実装 → 運用で凌ぐ定着 | 高 | 高 | Givenが正常系のみ | 軽減 | 実装前にデシジョンテーブルを埋める | PM+業務 | 各実装開始前 |
効き目=「兆候」列。確率・影響は見積りだが、兆候は観測できる。定例で兆候の有無だけ見ればリスク管理は5分で回る。 「◯◯が起きたら△△になる」の形で書く(「スケジュール遅延リスク」では対処できない)。
3. 確率×影響マトリクス(PMBOK)
| 影響 高 | 影響 中 | |
|---|---|---|
| 確率 高 | R-2 最優先 | R-3 用語集で潰す |
| 確率 中 | R-1・R-4 期限付き | R-6 回避できるので回避 |
| 確率 低 | R-5 手順を用意 | — |
すべてに同じ労力をかけない。手を抜く場所を決めるのがこの表の役目(3段階評価で十分)。 すべてに同じ労力をかけない。手を抜く場所を決めるのがこの表の役目。3段階評価で十分(%にしない)。
4. 四つの対応戦略
回避(原因を取り除く)/転嫁(内製では選択肢が限られる)/軽減(最も一般的:確率を下げるか影響を下げるかを意識)/受容(明示的に記録:誰といつ合意したか)。
5. 例外の洗い出し(教科書 第22章)
デシジョンテーブルと状態遷移表で機械的に「?」を晒す。二つの表が同じ穴を指したら本物。 Excel・メール・VIP対応は例外の宝庫。低頻度(棚卸し・締め)は稼働後に壊れるので年間カレンダーで洗う。
| # | 期限内 | 現物 | 本人確認 | 処理 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | Y | Y | Y | 引き渡す(←これだけ会議で語られた) |
| 2 | Y | Y | N | ?代理受取 |
| 3 | Y | N | Y | ?現物なし記録 |
| 5 | N | Y | Y | ?店長判断 ★在庫が二重に動く |
状態遷移表と突き合わせ、同じ穴(例:返棚後の来店)を指せば本物の穴。
6. プレモーテム(教科書)
「このPJは大失敗した」と仮定→各自が黙って原因を書く→読み上げ→上位3件を登録簿に落とす(担当・期限つき)。 出た声を登録簿に落とすまでが手順。落とさないと「言っても変わらない」を学習させる。
7. 監視し続ける
作って放置が最大の失敗。定例冒頭10分で「兆候・確率変化・起きたもの・新規」を見る。 精緻だが誰も開かない登録簿より、毎週開かれる登録簿のほうが強い。